オーバーツーリズムの解消に向けたマーケティング施策を考える

2023年の5月から日本への入国規制が解除された後、毎月多くの外国人が日本へ観光にやってきています。
都内でも、浅草や渋谷などをはじめ至る所で非常に多くの外国人観光客の姿を見かけます。

しかしながら、インバウンド需要が回復したということが必ずしも良いことばかりでは無いようです。

ここ最近「オーバーツーリズム(overtourism)」という言葉をよく目にするようになりました。
オーバーツーリズムは「観光公害」と言われている問題です。

一言でオーバーツーリズムといっても、具体的には非常に多くの問題を示しています。

例えば、京都では、通勤や通学などの日常生活に欠かせない公共交通機関としてのバスが、
観光客の利用により混雑し、地元の方が乗車できずに不便に感じるという事態が発生しているようです。

オーバーツーリズムには、様々な現象があるわけですが、私が最も懸念しているのは「一極集中」です。

これは端的にいうと、世界でも名の知れた観光地に、観光客が集中しているため、そこが混雑するわけです。
そうであるとすれば、いかにこの集中を分散させるかということが今後取り組むべき課題となります。

言葉で言うのは簡単ですが、非常に難しいだろうなと思います。

例えば、分散させるためにツアーと言う形でのみ観光できると言うような仕組みにすれば、分散は実現できるだろうと思います。
しかし、これでは観光客は自由に好きなときに好きなところに行くと言う自由が制限されてしまいます。
そうすると、観光客の満足度は低いものになってしまうでしょう。

これは一時的には問題は解決されるかもしれませんが、もしかしたらその満足度が高くない観光を経験した観光客は
二度と日本に来てくれないかもしれません。
つまり、マーケティングでいうと、「リピーター」にはならないわけです。

では何ができるか。私なりに考えてみます。
例えば、名だたる観光地の周辺地域にある魅力を伝えることで、
新たな観光スポットを作り出し、訪れる場所の選択肢を増やすことで分散させることできるかもしれません。
そして具体的なモデルとなるスケジュールを発信することで、特定の観光地への集中を緩和することができるかもしれません。
観光エリアごと、時間帯ごとに「ハッピーアワー」を設け、各地でのお土産の購入や飲食店を割引価格で利用できるようにする。
あるいはその逆で、ある一定の時間以外は割高に設定するというのもひとつの方法として考えられます。

私は、京都よりも奈良の方が比較的人が少なくゆっくり観光できるので好きです。
特に明日香村は駅から自転車を借りて、石舞台古墳や高松塚古墳など歴史のロマンを感じる名所が点在しています。
駅で自転車を借りることができますから、適度に体を動かしながらのんびり楽しみたい方にはおすすめの場所です。
京都の市内ほど人が多くないので当然渋滞もありませんし、快適にのんびりとした時間を過ごすことができるのです。

その一方で、奈良あるいは明日香村と言う地名は、京都に比べると世界的な知名度は劣るでしょう。
もちろん東大寺や春日大社など、ガイドブックに載っている観光地も多くありますが、
例えば、先程の石舞台古墳や高松塚古墳なんていうのは、日本国内であっても中学校や高校の教科書に少し出ているくらいです。
その歴史的な背景や価値・魅力が十分に観光客に伝わっているかというとそうでは無いように思います。

オーバーツーリズムの解消に向けた取り組みは様々議論されていますが、物理的に何か制限をするという事だけではなく、
観光客が自発的にある特定の場所への集中を避けるような仕掛けを検討したり、
満足度を高めて帰国してもらい、また日本に来てもらうという「リピーター」を作るような仕組みで解決するのが望ましいと思っています。

引き続き私もこの問題についてどんな解決策があり得るか検討していきたいと思います。

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